相続税と贈与税の関係

 贈与税は、生前贈与による相続税の回避を防止することを一つの目的として創設され、相続税を補完する性質があると言われています。そのため、贈与税は相続税に比べて基礎控除の金額が少なく、税率も高く設定されています。また、相続開始日(亡くなった日)前3年以内に贈与した財産は、その贈与が無かったものとして、他の相続財産と合算して相続税の計算をします。贈与税の基礎控除以内(110万以内)の金額で税金がかからず贈与した財産も、贈与してから3年が過ぎないと相続財産になってしまうことになります。

但し、例外もあります。婚姻期間20年以上の夫婦間の居住用不動産等の贈与(2000万円以内)と直系尊属からの住宅取得資金の贈与(平成23年は1000万円以内)です。この二つの制度については、3年以内であっても相続財産に加算されることはありません。これらの制度を上手に使うと大きな節税になります。

相続の手続きについて

 相続の手続きについて、期限が決まっているものがあります。

代表的なものとして

 死亡届の提出            →  7日以内

 相続放棄や限定承認の手続き  →  3ヶ月以内

 亡くなった方の所得税の申告   →  4ヶ月以内

 相続税の申告と納税        → 10ヶ月以内

 

 これらに対して、遺産の分割や相続の登記については、期限が決まっていません。但し、相続税の申告と納税の必要がある場合で、配偶者の税額軽減や小規模宅地の特例の適用を受ける場合には、遺産の分割が済んでいないと、これらの特例は受けられません。この2つの特例は、遺産の分割が済んでいて、かつ、申告期限までに申告していないと特例の適用は受けられなくり、税額の負担が大きくなります。

 また、相続税の申告が必要でない場合にも、次の世代の相続や土地建物の売却のときに手続きが大変になりますので、遺産の分割や相続の登記は早めに済まされたほうがいいと思います。

遺留分減殺請求

 どのような遺言をしようと自由なのが原則ですが、その結果残された遺族に遺産が行かず、生活に困ることもあります。

 そこで、遺族に対し遺産の一定割合を確保するために設けられたのが遺留分の制度です。

 そして、この遺留分を侵害する遺言が行われた場合に、侵害している部分について取り戻すことを請求することを遺留分減殺請求といいます。

 なお、遺留分減殺請求をしない限り、遺留分を侵害する遺言はそのまま有効なものとして扱われます。

非嫡出子

 法律上の婚姻関係(婚姻届を出した夫婦関係)から生まれた子を嫡出子といい、法律上の婚姻関係以外から生まれた子を非嫡出子といいます。非嫡出子は嫡出子の半分の相続権があります。

代襲相続

 本来相続人となる者が、相続開始以前に死亡していた場合、または相続欠格・廃除により相続権を失った場合に、その者の子が代わって相続できるという制度です。

 相続放棄の場合は、代襲相続しないということになります。

こんなケースは相続人になる?ならない?

胎児の相続権

@  相続開始のとき、まだ生まれていない胎児は、相続についてはすでに生まれたものとみなされ、相続

     権があります。

A  ただし、死産であった場合は、相続人にはなりません。

 

非嫡出子の相続権

正規の婚姻によって生まれた子を嫡出子、婚姻外で生まれた子を非嫡出子といいます。

@  母親と非嫡出子は出生により母子関係が生じます。

A 父親と非嫡出子は、父親が認知した場合に初めて父子関係が生

  じます。

B つまり、認知された非嫡出子だけが父親の相続人となります。

 

養子の相続権

@ 養子は実子と同じに扱われますので、相続人となります。

A また、養子にいったからといって実の父母と親子でなくなるわけではありませんので、実親の相続人にも

  なります。

B つまり、養子は実父母と養父母の両方から相続できるということです。

C ただし、特別養子は実親との親族関係が切断され、養父母の実子と同じに扱われますので、養父母の

  相続人になるだけです。

 

離婚した元妻と子の相続権

@ 離婚した元妻は赤の他人ですので、当然、相続人にはなりません。

A  しかし、子どもは離婚によって親子関係がなくなるわけではありませんので、父と母のどちらが引き取

  ったかにかかわらず、嫡出子としての相続権があります。

 

再婚した妻と連れ子の相続権

@ 再婚した妻は、当然、相続人になります。

A しかし、その連れ子は、被相続人と養子縁組をしていない限り親族関係はありませんので、相続人には

  なりません。

 

内縁の配偶者の相続権

@ 相続人になる配偶者とは、婚姻届を出している法律上の配偶者のことをいいます。

A したがって、最近は入籍しない夫婦(事実婚)も増えていますが、このような内縁関係の妻や夫は相続

  人になりません。

遺言書を見つけたら・・・

遺言書の検認について

「公正証書遺言」以外の「自筆証書遺言」及び「秘密証書遺言」の保管者または発見者は、相続の開始を知ったときは、遅滞なく、家庭裁判所に検認の申し立てをしなければなりません。

 

検認とは

検認の目的は、遺言書の形式、状態を確認し、確実に保存するために行われるもので、遺

言書の偽造、変造を防止するための手続きです。検認を受けなくても遺言書が無効になるというものではなく、逆に検認を受けた場合でもその効力を裁判で争うことも可能です。しかし、遺言書の検認は遺言書の偽造、変造を防ぐ重要な手続きであり、これに違反して、検認を受けないで遺言を執行したときは、5万円以下の過料に処せられます。また、相続人が故意に遺言書を隠匿したときは、相続欠格となり相続権を失うことになります。

 

封印のある遺言書

封印のある遺言書は、家庭裁判所において、相続人またはその代理人の立会いがなけれ

ば、開封することはできません。これに違反し、勝手に開封すると、5万円以下の過料に処せられます。

 

検認の手続き

遺言書検認の申し立ては、相続開始地の家庭裁判所にします。家庭裁判所は、遺言の方

式にかかる事項を調査し調査結果について調書を作成します。そして、裁判所は遺言書の

検認があったことを検認に立ち会わなかった相続人その他の利害関係人に通知します。

 

公正証書遺言の場合はこのような手続きは必要がありません。